『トラウマ映画館』
発売当初から話題となり、品切れが続いていて手にすることが出来ないでいた本『トラウマ映画館』(集英社)をようやく入手しました。
米国在住の映画評論家である町山智浩さんの著書。
内容はというと、著者が幼少時代などに観て思わずトラウマになってしまった、いわくつきの映画作品を紹介・評論するというものなのですが、思いのほか強烈な内容の映画が25本紹介されています。
紹介されている25本の作品そのほとんどがDVD化されていないものや、今では入手がほぼ不可能であるものなのだそうですが、当時はよくTVのロードショーなどでやっていたものらしく、町山氏と同世代の人間は
「あーその映画知ってる!なんか観たことある!」
というものが多いのだそうです。(ちなみに町山氏は1962年生まれ)
オレがタイトルを見て知っていたのは『戦慄!昆虫パニック』だけでしたが。
これからゆっくり読んでみようと思いますが、オレのトラウマ的映画はなんだろうか、と考えてみると
いわくつきとして結構有名な作品なのですが、やっぱり「ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団」(1974年・日タイ合作)でしょうか。
小学生当時、北九州市門司区に住んでいたオレ。
門司区には映画館が無く(正確には「若草」という名前のポルノ映画館は駅前にあった)、いわゆるハリウッド作品やメジャーどころの作品を観るためにはチンチン電車に乗って小倉市街まで出ないといけませんでした。
ただし夏休みや冬休みになると、住んでいたところからそれほど近くもない門司港に公共施設のホールがあり、そこでアニメや特撮映画的な作品を子供向けに特別上映するイベントが開催されていたので小さい頃は親に連れて行ってもらったりしたのですが。
はっきりと覚えてないのですが、多分小学校2年生か3年生くらいでしょうか。
この映画特別上映イベントでウルトラマンの映画をやる というので親に頼みこんで観に行ったことがあります。
会場には同じクラスの子や同じ団地に住んでいる子も結構いたことを覚えています。
いざ、上映開始。
ところがよく知っているウルトラマンの感じではないんです。
しょっぱなから妙に暗い雰囲気だし、第一、主人公らしき人物(少年)がガイジンなんですよ!
舞台も思いっきり外国(タイ)!!
「なにこれ・・・・ウルトラマン!?」
と困惑していると、いきなり泥棒にこの少年が殺されるという展開に!!
すでに困惑とパニックでよく分からなくなっているところにウルトラの母が登場。
死んだ少年に魂を与えて「白猿 ハヌマーン」として蘇り、後半になってようやく登場するウルトラ6兄弟と怪獣や悪人をやっつけるという内容なんですが、なんせ殺し方がエゲツないんですよ!
一匹の怪獣を集団リンチのごとくハヌマーンとウルトラマンとでたらい回しにしてボコボコにしたり、巨大化したハヌマーンが自分を殺した泥棒たちを握りつぶして殺したり、踏みつけて殺したりと、笑えない展開の連発。
まず、ヒーローであるはずのハヌマーンが全くカッコよくない容姿どころか、ちょっと怖い。
ヒーローとしてかっこいいはずの「空を飛ぶシーン」でのフォームがカッコ悪いどころか気色悪い。
スペシウム光線の類ではなく、なんか妙な刀を振り回して怪獣を残酷な感じで切り裂いたり肉を剥いだりして殺す。
こっちはウルトラマンの映画を観に来たはずなのに、ウルトラマンと思えない変なストーリーだし、気色悪いのが出てきてエゲつない殺し方をするし、大体最後だけだし、ウルトラマン出てくるの!!
上映終了後、なんかとんでもないものを観てしまったという暗い気持ちと、ハヌマーンの気色悪さに同じクラスの子と
「にせもののウルトラ映画やったね・・・・なんか怖かったね・・・・」
と話しながら歩いたのを覚えています。
そんなとんでもない「ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団」は製作した円谷プロとタイ側のチャイヨープロが長い期間この作品も含め権利問題等で裁判を行なっており、現在DVDなどでも発売はされていません。
ただし、youtube等では若干アップされている模様。
興味のある方はご覧下さい。
オレのトラウマ映画です(笑)